相続人が外国にいる場合

最近では海外に赴任している方も珍しくはありません。遺産分割協議に基づく不動産の相続手続きには相続人の印鑑証明書が必要となりますが、日本に住民登録がない方は日本の役所に印鑑登録をすることができません。相続人が外国にいる場合には、その相続人がいる国の日本大使館や領事館等から在留証明書、署名(サイン)証明書を取り寄せて、相続手続きをすることができます。

在留証明書
日本人が外国に在留していることを証明する在外公館(日本大使館、総領事館)発行の書類。

署名(サイン)証明書
外国に在留している日本人が印鑑証明書を必要とするときに、印鑑証明書の代わりに在外公館が発行する書類。

相続人に行方不明者がいる場合

相続人の中に行方不明者がいると遺産分割協議をすることができません。この場合、下記のような手続きをとる必要があります。

不在者財産管理人を選任してもらう
共同相続人の一人が行方不明の場合、他の相続人が家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらうよう申し立てをすることができます。不在者財産管理人は、行方不明の相続人の財産目録を作成し、それを補完する権限をもちます。また、家庭裁判所の許可を得れば、他の相続人と遺産分割協議をすることができます。

失踪宣告の申し立てをする
行方不明者の生死が7年間不明であった場合、親族等は家庭裁判所に失踪宣告の申し立てをすることができます。失踪宣告を受けたものは7年間の期間満了時に死亡したものとみなされ、戸籍謄本にもその旨が記載されます。

相続については、柳澤司法書士事務所へお気軽にご相談下さい!!

 

相続人に未成年者がいる場合

ご主人が亡くなり、相続人が妻と未成年の子どもの場合には、母は子どもの代理人となることはできません。遺産分割協議では共同相続人の間で利害が対立する可能性がありますので、相続人の一人が他の相続人を代理することや、同一人物が複数の相続人を代理することは禁じられています。このケースでは子どものために特別代理人の選任を家庭裁判所に申し立てなければなりません。もし妻が特別代理人を選任しないで親権者として子どもを代理して一人で遺産分割を行った場合は、この遺産分割は無効となります。なお、子どもが成人した後にその遺産分割を承認すれば、分割のときに遡って効力が生じます。

不動産を相続したら、まず相続登記を!!

相続によって不動産を取得した場合、それが自分のものであることを他人に主張するために相続登記(名義変更登記)をするのであり、登記しなければ罰せられるというわけではありませんし、手続きをしなければいけない期限があるわけでもありません。ですので、必要になったときにやればよいと考える方もいるようですが、本当にそれで大丈夫でしょうか??

【Aが亡くなり、その相続人がAの子どもであるBCDであった場合】
BCDは仲の良い兄弟で不動産は長男のBが相続するということで話はまとまったので、安心して手続きをせずに放置していました。そして、数年後Cが亡くなってしまいました。Cには妻Eと子Fがいました。その後、不動産が売却できそうなのでBはDEFに相続による名義変更登記をしたい旨、伝えるとEFにBが相続するという話は知らないし、納得できないから協力できないと言われてしまいました。名義変更登記手続きが進まずに時間ばかりが過ぎ、最終的には不動産売却の話もなくなってしまいました。Aが亡くなってすぐに不動産の相続による名義変更登記をしていれば・・・

不動産の相続による名義変更登記をしないで長い間放置しておくと、相続人が亡くなり相続権がある方が次第に増えて、相続人が100人以上になってしまった・・というケースもあります。このようになると遺産分割協議を整えることが難しくなり、必要な書類も非常に多くなります。相続による名義変更登記を済ませないと売却することも担保にいれることもできません。

不動産を相続したら、まずは相続登記を!!⇒ ご相談の流れ

相続と養子縁組③

『事業を娘の夫に継がせたい!!』

娘の夫に家の事業を継がせたい時には、娘の夫と養子縁組の手続きをしておけば、夫は娘と同等の相続権を得ることができ、事業をスムーズに引き継がせることができます。養子縁組は本来、養子となる子の利益のためにある制度ですが、このように事業の承継などに役立つ場合もあります。また、すでに結婚しているものが養子に行く時は、夫婦の一方の同意を得れば一人で養子縁組をすることも可能です。

 


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