相続人に行方不明者がいる場合

相続人の中に行方不明者がいると遺産分割協議をすることができません。この場合、下記のような手続きをとる必要があります。

不在者財産管理人を選任してもらう
共同相続人の一人が行方不明の場合、他の相続人が家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらうよう申し立てをすることができます。不在者財産管理人は、行方不明の相続人の財産目録を作成し、それを補完する権限をもちます。また、家庭裁判所の許可を得れば、他の相続人と遺産分割協議をすることができます。

失踪宣告の申し立てをする
行方不明者の生死が7年間不明であった場合、親族等は家庭裁判所に失踪宣告の申し立てをすることができます。失踪宣告を受けたものは7年間の期間満了時に死亡したものとみなされ、戸籍謄本にもその旨が記載されます。

相続については、柳澤司法書士事務所へお気軽にご相談下さい!!

 

不動産を相続したら、まず相続登記を!!

相続によって不動産を取得した場合、それが自分のものであることを他人に主張するために相続登記(名義変更登記)をするのであり、登記しなければ罰せられるというわけではありませんし、手続きをしなければいけない期限があるわけでもありません。ですので、必要になったときにやればよいと考える方もいるようですが、本当にそれで大丈夫でしょうか??

【Aが亡くなり、その相続人がAの子どもであるBCDであった場合】
BCDは仲の良い兄弟で不動産は長男のBが相続するということで話はまとまったので、安心して手続きをせずに放置していました。そして、数年後Cが亡くなってしまいました。Cには妻Eと子Fがいました。その後、不動産が売却できそうなのでBはDEFに相続による名義変更登記をしたい旨、伝えるとEFにBが相続するという話は知らないし、納得できないから協力できないと言われてしまいました。名義変更登記手続きが進まずに時間ばかりが過ぎ、最終的には不動産売却の話もなくなってしまいました。Aが亡くなってすぐに不動産の相続による名義変更登記をしていれば・・・

不動産の相続による名義変更登記をしないで長い間放置しておくと、相続人が亡くなり相続権がある方が次第に増えて、相続人が100人以上になってしまった・・というケースもあります。このようになると遺産分割協議を整えることが難しくなり、必要な書類も非常に多くなります。相続による名義変更登記を済ませないと売却することも担保にいれることもできません。

不動産を相続したら、まずは相続登記を!!⇒ ご相談の流れ

寄与分とは?

被相続人(亡くなった方)の財産の維持や増加に貢献した相続人については、その度合いに応じて相続分が増加することになっています。これを寄与分といいます。具体的には、農業を営む被相続人のもとで長年無償で働いていたとか、寝たきりになり自宅療養していた被相続人の看護に努めたとか、被相続人の事業が経営困難に陥った時に資金援助をした場合などです。特別の寄与でなければならないので、親子間や夫婦間の通常の助け合いは対象となりません。寄与分の額ついては、原則として寄与をした本人が寄与分を主張し、相続人の話し合い(遺産分割協議)で決めることとなります。

特別受益とは?

 被相続人(亡くなった方)からマイホームの頭金を出してもらったり、結婚資金を援助してもらうなど、特別の利益を受けている相続人を特別受益者と呼びます。このような生前の贈与は遺産も前渡しとみることができます。これを無視して単純に遺産を分けてしまうと、特別受益者とそうでない相続人との間に不公平を生じ、事情によっては被相続人の意思に反することもあると考えられます。そこで特別受益者が受けた贈与の額を相続財産に加え、その額をもとに各相続人の相続分を決めることができます。特別受益にあたるのは、婚姻や養子縁組のため、もしくは生計の資本としての贈与です。住宅資金の援助や開業資金、農家における農地などを指し、通常の生活費や学費などは含まれません。また、これらの生前贈与の他に、相続人が受ける遺贈はすべて特別受益となります。

相続人でない人に財産をあげることができる?

 遺言がなければ、被相続人(亡くなった方)の財産は法定相続人が相続しますが、遺言によって被相続人が自分で財産の承継者を決めて与えることを遺贈といいます。これは、人の生前における自由な財産の処分の延長として、その人自身に死後の財産の行方も決定させようする制度です。遺贈を受ける人を受遺者と呼びますが、受遺者は相続人でも相続人でなくてもかまいません。したがって、息子の嫁や友人など相続権がない人にも財産をあげることが可能です。
遺贈には特定遺贈と包括遺贈の2種類があります。特定遺贈は「自宅の土地建物を遺贈する。」というように具体的な財産を示して行う遺贈です。また、包括遺贈とは「財産の3分の1を遺贈する。」というような割合を示して行う遺贈です。包括遺贈の場合、受遺者はプラスの財産だけではなく、債務も承継します。つまり、包括受遺者は相続人と同一の権利義務を承継することになります。なお、特定の相続人への遺贈は特別受益にあたります。次回は、特別受益についてです。


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