それは本当に相続放棄??
先日、「私以外の兄弟は相続放棄をしたから父の土地や建物を私に名義変更して下さい。」というご相談を受けました。しかし、よくよく話を聞いてみると、他の兄弟は「財産はいらない。相続放棄する。」と仰っているだけであるとのことでした。
法的な意味での「相続放棄」は、亡くなった方の財産と債務をすべて引き継がない、相続人にすらならないようにすることを意味します。この「相続放棄」は必ず家庭裁判所での一定の手続きを経なければなりません。
今回のケースでは、他の兄弟は家庭裁判所で手続きをしておらず、また、亡くなった方は借金がなかったため、遺産分割協議(財産をどのように分けるのかを話し合う)をして頂き、相続登記(名義変更登記)をしました。
「相続放棄をしたから私は関係ない。」といっても、家庭裁判所での手続きをしないと、亡くなった方に借金があった場合、債権者から借金の請求がくることになってしまいます。これは、遺産分割協議により財産を取得しない相続人であっても同じです。
なお、「相続放棄」の手続きは、相続発生を知った時から3か月以内にしなければなりませんので、注意が必要です。